【世界一周376〜384日目】2024.4.22〜4.30 ブラジル 弓場農場
気温:22度〜36度くらい
歩数:1日13,000歩前後
今回の記事
- ブラジルにある日本「弓場農場」での日常について 前編。
弓場農場の概要や、そこで感じ、得たものはこちらの記事をどうぞ。
1日目 到着
アンドラディナからミランドポリスという街にたどり着いた我々。
現在は弓場農場に向かうアリアンサ行きのバスが廃止されていたため、タクシー(80レアル程度)かUber(50レアル程度)で行くのが唯一の手段。
我々はヒッチハイクで弓場農場へ(捕まえるのに30分くらいかかった)。
夕方に到着したのでこの日は作業は無く施設の紹介をしてもらった。
日系の方達が暮らしているので共通言語は日本語だ。(ブラジルはポルトガル語が公用語なので両方話す人も多い)
ブオオオオ〜!ブオオオオ〜!
食事の合図である角笛が鳴り響くと、食堂に大勢の人が集まって来た。
簡単な自己紹介の後、皆と一緒に食べる食事はとても美味しかった。
日本米や味噌汁なども美味しいが、野菜が特に美味しい。
農場らしくここで採れたものが多く使われているようで、良い作物が採れるのだろう。
旨っ!
美味しい〜!
2人で旨い美味い言いながら食べた。
また、食事の前には黙祷の時間があった。
無事に辿り着けたこと、受け入れてくれたこと、その恩返しとして一生懸命できることを頑張ると誓いつつ、大きなテーブルの上に置かれた数々の料理に感謝しながら「いただきます。」
そう心の中で唱えた。
だけどこの時は「いただきます。」の本当の意味をわかっていなかったことが後になってわかるのだった。
食堂には60名ほどが集まり、杖をついたお年寄りからベビーカーの赤ちゃんまで幅広い。
てっきり高齢社会かと思っていたけれど、未来の担い手たちが元気に庭を走り回っていた、
食後は浴場へ。
日本の銭湯みたいな湯船があって最高に気持ちが良かった。
美味しい食事に、温かい湯船。
旅の疲れを落としてエネルギーを蓄えた。
明日から本格的に弓場での暮らしが始まる。
そう思って興奮しながらベッドに入った。
1日目に関しては到着時の記事に詳しく書いてます。
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2日目 初めての農作業
5時50分にアラームで目を覚ます。
弓場での本格的な暮らしが今日から始まる。
ブオオオオ〜!ブオオオオ〜!
6時に角笛が鳴り響いた。
朝食の合図だ。
眠い目をこすりながら朝食会場へ向かった。
おはようございます!
挨拶しながらテーブルへ。
黙祷を捧げた後に美味しい朝食をいただいた。
自家製のパンをもらおうとしたら、
パンはこれで焼くとええ。
高齢の女性が教えてくれた。
す、炭火でパンを焼いて食べるなんて最高に贅沢だ。
これも食べるとええ。美味しいよ。
自家製のヨーグルトだった。
ココナッツを使った砂糖と一緒に食べると美味しいと教えてくれた。
確かに黒糖みたいな上品な甘さでヨーグルトにとても合う。
パンやヨーグルトまで自家製。
すごいですね。
そう素直に伝えると、
昔はな〜んにも無かったからね。自分たちで作るしか無かったんよ。
そう教えてくれた。
そうか、そうだよな。
今では当たり前にあるものが、昔は当たり前に無かった。
だから自分たちで作った。
それが今もなお続いている。
新しいことをするのは大変だけど、何も変わらないのもすごく難しい。
ここの暮らしには先人達の知恵が脈々と受け継がれていた。
食事の途中でスクールバスがやって来たので子供達を見送った。
弓場の子供達の教育はどうなっているのかと思っていたが近くのアリアンサという街に学校があるんだそう。
食後は昨日施設を紹介してくれたKatsuさんと一緒に農作業を行うことになっている。
作業用のジーパンと長靴、軍手に帽子をお借りしていざ畑へ。
じゃあこれに乗って。
そう言われて乗り込んだのはトラクターに連結された荷台だった。
農作業がんばるぞい!
まるでアトラクションのようにガタガタと揺れながら畑を向かっていると、弓場で飼われている犬の小町が荷台に飛び乗って来た。
3人と1匹で広大な農場を走って畑へ向かった。
・・・
・・
・
畑に到着すると、
これをこうやってな、地面に埋めてくれるかい。
そう言ってKatsuさんに言われた初の作業はこれ。
苗植えである。
なんの苗かわかりますか?
わかるわけないですよね。
答えはズッキーニです。
ズッキーニといえば我が家の食事で登場する確率が非常に高い大好きな野菜。
ズッキーニ大好きなんです〜!!
Azuは大好きなズッキーニが植えられることで喜んでいた。
苗がたくさん植えられた発泡スチロールの底から木の棒で突いて苗を慎重に取り出し、等間隔に植えていく。
最初はmosariが苗を取り出して、Azuが埋める。
1列終わったら交代。
Azuが苗を取り出して、mosariが埋める。
植物には声をかけると良いと何かで聞いたことがあったので、
元気に育つんやで。
一つ一つにそう言って声をかけながら作業を進めた。
Azuも真似して声をかける。
美味しく育つんやで。
もう食べる気満々のようだった。
もちろん我々はそんなに長く滞在できないから食べることは叶わないけれど、元気に美味しく育つように願いながら苗植えをしていった。
こんなに小さな苗が3ヶ月?くらいで収穫できるそうだ。
日々育っていく様子を見ながら世話をして、収穫できた時の喜びはそれはそれはすごいのだろうな。
楽しい。
想像以上に楽しい。
消費するのではなく何かを育てるという行為に心が満たされるのを感じる。
手を泥だらけにして何かに夢中になるのはいつぶりだろうか?
150本ほどの苗を植えることができた。
立ったり座ったりを繰り返すので徐々に体力を削られていくがまだまだ元気。
苗を植え終わったらクワを使って成長したズッキーニの周囲に巻いた肥料を土に混ぜる作業。
これは中腰での作業になるため腰が痛くなる。
そして何よりキツいのが暑さだ。
朝は涼しいのに昼に近づくにつれて日差しが強くなる。
当然気温も上がってくる。
30度は超えているはず。
ジーンズに長靴の組み合わせなのだが熱がこもって汗が止まらなくなる。
この暑さの中での作業は本当に大変だ。
これをどれだけ繰り返せば野菜が収穫できるのだろうか。
その値段は?
日本だったらズッキーニは100円くらいで買える。
そう考えると恐ろしくなった。
しんどい、そう考えると本当にしんどい。
これが農家の直面している現実なのだろうか。
よし、そろそろ戻ろか。
やっと午前中の作業が終わった。
再び荷台に乗る。
帰り道の途中でグァバの木を育てるエリアを通った。
日本だと馴染みの薄い果物だが、弓場ではよく獲れるそうだ。
Katsuさんが1個もぎってくれたので食堂へ戻ったらすぐにいただいた。
初めて生で食べるグァバはとてもジューシーで甘くて美味しかった。
皮ごと食べられる。
休憩しているとすぐに11時になったので角笛が鳴り響いた。
黙祷を捧げて昼食を食べる。
うまい。
明らかに野菜が美味しく感じる。
それは生産の大変さの片鱗を感じたからだ。
たった”苗を埋める”というプロセスをしただけだけど、実際に自分の手で土をいじると生産者に感謝をせずにはいられない。
ここから収穫に至るまで想像以上の苦労があるはずだ。
我々が美味しく食べることができるのは生産者の方の努力と根性があるからなのだ。
感謝の気持ちがあると食事は美味しくなるようだ。
食後は宿舎に戻ってベッドに横になる。
少しでも身体を回復させたかった。
・・・
・・
・
13時半に再びKatsuさんと一緒に畑へ向かう。
明らかに午前中と比べて日差しが強くなり、気温が上がっている。
たまらず手拭いを濡らして首に巻きつける。
首筋が冷たい感触に包まれてとても気持ちが良い。
やはり農作業には手拭いだ。
濡らして首に巻くだけで全然違う。
遠い昔、mosari母に教えてもらった知恵のひとつだ。
実家の庭の草むしり、母はいつも苦労していた記憶がある。
再び畑にやって来るとそれは恐ろしい暑さだった。
暑い・・・
たまらずそうぼやくと、
だいぶマシになったけどねぇ。ちょっと前まで40度あったんだよ。
サラッと恐ろしい返事が返って来た。
野菜作るの大変すぎません?
午後の作業はトラクターを使って雑草を根こそぎ退治する・・・
はずがトラクターが故障。
だいぶ古そうに見えるトラクター。
これなら確かにガタがきても仕方ないかな、そう思える見た目だった。
だいぶ古そうですもんね、いつぐらいから使ってるんですか?
いやぁ買ってからそんなに立ってないんだけどねぇ。
多分1個の製品に対する寿命の考え方が違うのだろう。
どう見ても年季が入っているが10年、20年と長く使い続けるつもりなんだと思う。
1個のものを長く大切に使うから、弓場的にはまだまだ使えるよって意味なんだろうな。
一緒に応急処置を試みたが、今すぐ使うのは難しそうだった。
そんな訳でトラクターではなくクワを使って畑を耕すことになった。
が、強い日差しで畑の土がカラッカラになっていた。
午前中に植えたズッキーニが明らかに元気を失ってシワシワしていた。
あーこれはまず先に水をやらんといけんなぁ
そんな訳で散水機の蛇口を捻るKatsuさん。
すると畑の上に張り巡らされた散水機から徐々に水が噴き出してきた。
この広い畑にどうやって水を巻くのかと思っていたが、散水機があったとは。
これならすぐに畑も潤う・・・
・・と、思いきや散水機の吹き出し口が詰まっているのか全然水が飛んで無いエリアがあちこちに生じていた。
日本のと違ってブラジルのだからねぇ。すぐ詰まっちゃうんだよ。
成長したズッキーニはそれでも大丈夫らしいが、植えたての若い苗はそうはいかない。
急遽苗への手動水撒きをすることになった。
ジョウロでもあれば良いのだが、1個しか無いので我々はどうやって水を撒くか考えた。
そこで大活躍したのが首に巻いてる手拭いである。
これに水を吸わせて苗の上で優しく絞るのだ。
現代農業では考えられないようなアナログ手法だが一刻も早く水を吸わせないと苗が死んでしまうかもしれないと思うとあるもの使って早急に水分を与えねばならなかった。
水を十分に与えたらクワを使った作業を開始。
成長したズッキーニを傷つけないように気をつけながら周りを耕す。
慣れないクワを使った作業。
中腰の姿勢はやはり腰にくる。
相変わらず日差しは強い。
散水機の水が飛び散っているおかげでなんとか耐えられたけど、これが無かったら危なかった。
今月の頭はパタゴニアにいて気温一桁だったんだけどな・・・
ヘロヘロになりながら少しずつ耕していく。
や、野菜作るの大変すぎません?
トラクターがあればもっと楽だったんだろうけど、無いなら無いで自力でやるしか無いのだ。
トラクターが壊れても暑くてもKatsuさんは弱音を一切吐かなかった。
こんなことは日常茶飯事なんだろうな。
本当に大変だ・・・
作業が終わると夕食だ。
黙祷では野菜を食べられることを感謝した。
野菜が食べられるのは生産者の方の苦労のおかげなのだ・・・!
今日はまさかのちらし寿司。
日本かな?
久しぶりの海苔も嬉しかったし、三つ葉のお吸い物が最高に美味しかった。
そしてレタスやナス、インゲンなどの野菜が美味しいこと、美味しいこと。
野菜が食べられるってのは本当に幸せなことだ。
食後はお風呂に入って、その後に洗濯。
いつもなら夜はブログタイムだが無理だ。
早く寝ないと身体がもたない。
日焼けで熱を持った肌が不快でもあり少しだけ誇らしかった。
3日目 まるで開拓者だ
今日も5時50分に起きる。
明らかに身体がダルい。
Azuもだいぶ眠そう。
6時に角笛が鳴ったので食堂へ。
寝ぼけてお米も大量に盛ってしまった。
パンで米を食べるというよくわからない朝食になってしまった。
ヨーグルトのお供はグァバのジャム。
Azuはグラノーラみたいなやつ。
コーヒーが苦手なAzuはミルクを割って飲んでいた。
それぐらいミルクが甘くて美味しかったのだ。
今日も畑かと思いきや、
今日は俺と一緒に来てくれや
日系1世、つまり日本で生まれてここ弓場に移住してきたシイタケさん(もちろん仮称)だった。
今日は同じ旅行者のにしきよさんも一緒だった。
ついて行った先にはトラックが1台。
今日はこれで移動するのか。
シイタケさんに加えてゼロさん、我々旅行者3人で荷台に乗り込む。
畑に向かうかと思ったら別の農家へ行くとのこと。
左にあるのはチェーンソーだ。
それにしても車の荷台ってのはどうしてこうもワクワクするのだろうな。
日本じゃ当然禁止なので海外ならではの楽しみの一つだろう。
ピックアップトラックの荷台に乗った思い出と言えば、サウジアラビアで友達であるミシの親戚に乗せてもらったことや、ザンビア出国時にmosariの不法入国が判明して国境警察に捕まった時を思い出す。
30分ほど車を走らせて到着したのは1軒の日系農家さん。
じゃあこれを頼むよ。
農家の方から今日のターゲットを聞き出すと、
よし、じゃあやるか。
ブオオオオオオオン!
チェーンソーのエンジンがかかりけたたましい音が鳴り響く。
ギュイイイイイイイイイイイン!
・・・伐採が始まった。
今切っているのはマンゴーの木。
この農家ではスターフルーツを作っているが、風除けとして埋めたマンゴーの木が大きくなりすぎたため、伐採して欲しいそうだ。
その代わり弓場は切ったマンゴーの原木を手に入れる。
そういうウィンウィンの関係なんだそう。
伐採の手順はまずは太い幹に対して水平に半分くらいまで切る。
その後斜め上から楔形になるように切り口を入れて抜き取る。
すると木の重さに幹が耐えきれなくなって切り口を入れた方に倒れるというやり方だった。
バサバサバサー!バキッ!!
ズドーーーーン!
大きな音を立てて倒れる巨大なマンゴーの木。
さらにここから90cmに切り分ける。
90cmに切った竹を枝に添えてチョークで印をつけていく。
印を付けたらチェーンソーで切る。
それをシイタケさんとゼロさんが行う。
我々の仕事は切り分けられた90cmのマンゴーの枝をトラックに積み込む係だ。
写真だと小さく見えるが物によってはかなり重い。
木を切り倒して運ぶなんてまるで開拓者だ。
そう思うと少しワクワクしたが、やっていることは自然破壊でもある。
住処である木を切り倒されたからか、小さな虫が飛び回っていて申し訳ない気持ちになった。
地面に転がっている木の枝を持ち上げるのは腰にくる。
荷台も高さがあるから上半身も。
今日は完全に肉体労働だった。
バケツリレーみたいに3人で枝を積み込んでいく。
普通に重いのにAzuも頑張った・・・!
もはやこれは農業ではなく林業では・・?
目標は120本だったんだけど、90本ちょっとでタイムアップ。
マンゴーの木と一緒に弓場に戻った。
積み下ろした場所はシイタケさんの戦場である、シイタケの栽培所だった。
そう、弓場ではシイタケまで育てていたのだ。
シイタケ栽培にはウルシ科の原木が適しているそう。
ブラジルではマンゴーが最も適しているそうだ。
シイタケの作り方も教えてもらった。
- 原木にドリルで穴を開ける
- そこにシイタケの菌を入れて薬液で蓋をする
- 7ヶ月寝かせて原木に菌を行き渡らせる
- 原木を氷水にいれて取り出す
- 寒い→暖かいという気温の変化で春が来たと勘違いさせる
- 1週間ほどでシイタケが育つので収穫する
シイタケさんはこれを30年近くやっているプロだったのだ。
それにしてもシイタケってこんな風に作られていたとは・・・
昼食。
これぞまさに野菜たっぷりヘルシーランチ。
午後はKatsuさんと一緒に再び畑へ。
はい、昨日の続きです。
ズッキーニ畑をクワでひたすら耕す。
もうね、暑い。ほんと暑い。
フラフラになりながらも一心不乱にクワを振り続ける。
途中で一度だけ水分補給の休憩を取った。
野菜、(食べられるの)感謝しないとね。
Azuが泣きそうになりながらそう言った。
ほんとその通りだと思った。
いただきます。
その本当の意味が少しわかって来た気がする。
mosariはスマホとマウスより重いものを持ったことが無いくらい現代っ子なのです。
半日クワを振ったらもう手が豆だらけ。
痛いよぅ。
身体がバキバキ。
明日は筋肉痛確定。
って言うかAzuもこのクソ暑い中本当によく頑張っていた。
ジーパンの裾が汗がびしょ濡れになるまで本当によく頑張った1日だった。
野菜作るの大変すぎ(;´∀`)
夕食前の黙祷ではやっぱり野菜が食べられることに感謝した。
感謝しすぎて食べ物の最上位に野菜が降臨しているのかと思うくらいだった。
夕飯はブラジルの揚げ餃子のようなパステオという伝統料理。
知らずにブラジルでこれまで2回食べたけど中身がスカスカだった。
が、弓場のパステオはひき肉やチーズ、たけのこ、シイタケなど具沢山でとても美味しかった。
皆4個か5個頬張っていた。
地味にオクラもあって驚いた。
食器拭きが終わったらお風呂に入って疲れを・・・
と、思ったがそうはいかない。
今日はToshikoさんからもう一つお願い事を頼まれているのであった。
ネギやらチーズ、ハム、そしてアレ(明日のお楽しみ)を小さく切る簡単なお仕事だ。
だが、読者の方は知っているかもしれないがmosariは料理できません。
うわ、下手くそ! そんな切り方ある? うわー!
Azuから何か言われ続けていた気がするが頑張って切ったからいいのだ。
とにかく身体がもうバッキバキなので早く寝ないと明日がヤバい。
早く風呂に入ろう。
片付けをしていると、
mosari、明日配達手伝って。
わかりました。
声をかけてくれたのは日系2世のDaigoさん。
配達か、またこれまでと違う新しい仕事だ。
明日が楽しみだ。
じゃあ3時半に食堂ね。よろしく。
さ、さんじはん?
なんと言うことだ・・・
急いでお風呂に入って洗濯をして23時にベッドへ。
野菜の感謝よりも明日この疲労感のなか3時過ぎに起きなければいけないのが怖かった。
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4日目 初めての配達
3時過ぎに目を覚ます。
意識ははっきりしている。
が、起き上がれない。
ダルい。ダルすぎる。
上半身がバッキバキである。
当たり前だが遅刻するわけにはいかない。
気合いで起き上がって他の人を起こさないようにこっそり宿舎を出た。
食堂に向かうともうDaigoさんが待っていた。
おはよう、じゃあ行こうか。
配達チームの人は毎回この時間なのか。作るのも大変だが配達も大変だ・・・
弓場は作った野菜や果物を自分たちで食べもするし、出荷してお金を得ているという話は聞いていた。
近くの街の市場で売るのかな?
そう思っていたが出荷場に向かうと想像以上にデカいトラックが止まっていた。
今日出荷する分の大半は昨日のうちに積み込み済みだったので、少しだけ追加してトラックの助手席に座った。
2人で行くのかと思ったら村の出口でもう1人乗ってきた。
日系1世のジョン・レノンさんだ。
ジョン・レノンさんはかつて我々同様に夫婦で弓場を訪れ、弓場での暮らしを気に入りなんと1年半!!も滞在。
一度日本に帰国後、準備をしてから10年前に弓場へ夫婦で移住してきた方なのだ。
弓場には今もなお移住者がいるのである。
いつもはもう少し遅い時間に出発するそうだが、今日は特別に1軒のスーパーから早く商品を届けて欲しいと依頼があったそう。
どうも最近中国資本に買収され、今日は本社の偉いやつがオープン前に視察に来るそうだ。
そのためいつもより早く商品を持ってきてもらって準備を整えなきゃいけなくなったとか。
そういう細かい依頼にも対応しなきゃいけないんだから配達チームも大変だ。
って言うか近くの市場で路上販売かと思っていたけど、しっかりとしたスーパーに卸していたのか・・・
mosari眠かったら寝てもええよ。
運転しているDaigoさんはそう言ってくれたけど、助手席は寝てはいけないと言う日本人的発送が働き気合いで起きていた。
ちなみにジョン・レノンさんは枕を使って寝ていた。
2時間ほどかけて近く?の街までやってきた我々。
街は2ヶ所、スーパーは8ヶ所ほどあるので急いで荷物を積み下ろす。
荷物を搬入したらおしまいかと思いきや、商品の陳列まで配達チームが行っているそうだ。
なので1ヶ所目の街でセンセイは陳列するために野菜や果物と共に街に残った。
Daigoさんとmosariの2人で2ヶ所目の街に行って荷物を下ろしながら、陳列を行った。
mosariはグァバを陳列して。残ってるやつは一度どかして今日持ってきたやつの上においてな。
OK Boss!
Daigoさん日系2世のはずだけどサービスレベルが完全に日本式。
一昨日食べたグァバはとても美味しかった。
まだグァバの仕事には携われてないけど、これも相当手間暇かかっているはずだ。
生産者の苦労がわかっただけに
たくさん売れてくれ〜〜
そう思いながら陳列した。
できる限り方向を揃えて見栄えよくしたかったけど、大きさがバラバラだから難しかった(;´∀`)
スーパーの人は皆優しかった。
多くの人が話しかけてきてくれる。
mosari気に入られとるな。
めちゃくちゃありがたいんですけど、何言っているか全くわかんないです。
Daigoさんや弓場の方々が丁寧だから僕にも好意的に接してくれるんだろうな。
弓場のサービスめっちゃ丁寧だもん。
他の業者は置いてくだけだけど、弓場は陳列して店員さんの負荷を減らしてる。
卸しているスーパーはとても大きく立派なところで驚いた。
路上とか思っててすいませんでした・・・
野菜の運搬はカートを使う。
大事な野菜が入っているので絶対に倒すわけにはいかない。
頼むから絶対倒れないでくれよ・・・
めちゃくちゃ気を遣いながら小走りで押した。
押してる時は大丈夫だったがYUBAのコンテナからスーパーのコンテナにポンカンを移す時に3個落としてしまった。
手で1個1個移そうとしたら、
コンテナ持ち上げてガーッって一気にやっていいよ。
そう言われたので持ち上げて流すようにして移そうとしたら角度が悪かったのか勢いがつき過ぎてコンテナに入らないものがあって、床に転がってしまったのだ。
大事な商品なのにやっちまった・・・
慌てて拾って確認。
Daigoさんと店の人に見てもらったけどとりあえず大丈夫そうだった。
気をつけないとな(;´∀`)
3ヶ所まわって最後のスーパーにやってきた。
荷物を持って搬入口に持って行くと何か様子がおかしい。
Daigoさんどうしたんですか?
なんかトラブってるらしくて、責任者捕まるまで受け取れないって言ってるわ。
どうやら待つしか無いようだった。
・・・
・・
・
全然責任者が捕まらないらしい。
30分、そして1時間が経過した。
途中で諦めて弁当を食べることにした。
朝から何も食べてないから助かった。
お母さんたち特製のお弁当だ。
野菜はもちろんだが、唐揚げが泣きそうになるくらい美味しかった。
筋肉痛の身体に肉が嬉しい。
奥のでかいのは5Lの水筒。
これを3人で回し飲みする。
ジョン・レノンさんは違う街にいるから水飲めないの辛すぎる。
食べ終わっても責任者がまだ捕まらない。
うちのは青果やぞ。こんなんありえんよ!
Daigoさんも頭に来ているようだった。
そうだよ、青果だから日陰とはいえ30度の外に置いておいていい訳がない。
大切な商品が雑に扱われて悲しくなった。
結局責任者車が捕まったのは2時間後だった。
海外らしいというか、なんと言うか・・・
すっかり遅くなってしまったが1ヶ所目の街に戻ってジョン・レノンさんと合流。
トラックに積まれていたコンテナも無事に空っぽになった。
帰りの運転はジョン・レノンさん。
遠くに白煙をあげる工場が見えた。
聞けばサトウキビの加工工場で24時間稼働し続けてるんだとか。
砂糖やエタノールなんかを作ってるそう。
ブラジルの車はエタノールで走るんよ
なにその独自技術(;´∀`)
マジかと思って帰ってググったらほんとだった。
トヨタも注目していた。
南米ブラジルの脱炭素 カギはサトウキビにあった!? |トヨタイムズ
途中ガソスタで給油。
エンジンが止まった車は暑いから降りて水を飲む。
知らない人がみたら完全にガソリンかオイルを飲んでるようにしか見えないな。
何もないひたすらまっすぐな道を通って弓場に帰った。
でも帰りは少し寝てしまった・・・
戻ったのは14時。
その間結構水を飲んだけどトイレは一度もいかず。
汗かきまくってるな・・・
帰ったらコンテナを元の場所に戻したら今日の仕事は終了。
宿舎に戻って休ませてもらった。
ちなみにAzuは今日は食品加工をしていたそう。
60個の玉ねぎを切ってスライスしまくったり、
9kgのニンニクの皮を剥いたりしていたそう。
後はシイタケパウダーを袋詰めしたり。
・・・
・・
・
夕方に先ほどの出荷場に多くの人が集まっていた。
一際人が集まっている場所にあったのは、
たこ焼きである。
そう、今日はToshikoさんが先生をやっている日本語学校のイベント日なのだ。
昨日の夜切っていたネギやチーズ、ハムに加えてアレと呼んでいたのはタコだったのだ。
ソースも含めて全て手作り。
弓場の無いなら作ってしまおう精神は本当にすごい。
まさか海外でたこ焼きが食べれるとは。
疲れた身体にソースの塩味が美味しかった。
日本語学校なのにこうしたイベントを実施するのは日本の文化に触れて興味を持ってもらう目的もあるのかな。
教育とは勉強を教えるだけじゃない。そういうことなのだろう。
ここで1人の日本人に出会った。
名前は赤羽さん。
聞けばToshikoさんと一緒に日本語学校で先生をやっているそう。
元々長野県の中学校で教師をやっていたそうだが、JICAの海外青年協力隊に志願、色々とご縁があって長野県からの移住者も多いアリアンサ地区(弓場の近く)で教鞭を執ることになったそう。
1人で日本からブラジルにやってきて日本語教室をやることになって色々と大変だっただろうし、実際引き受けるにはすごい勇気が必要だったんじゃないだろうか。
まだ若いのにすごいよ。
先生と話をしていたらSちゃんがやって来た。
ねぇ!Azuは〜?
まだキッチンでお仕事してるみたいだよ。
じゃあ私がAzuにたこ焼き持って行く!mosariが持ってっちゃダメだよ!
Azu、愛されてるじゃねえか・・・
新しく作ったたこ焼きを器によそったらソースとマヨネーズをかけて出来上がり。
日本語学校の友達と2人でAzuに届けにいった。
なんて優しい子たちなんだ。
でも残念ながらAzuはまだお仕事中だった。
じゃあAzuに渡しておいてね!mosariが食べちゃダメだよ!
ちゃんとお仕事中だから気を遣って声をかけない配慮もできてしっかりした子達だ。
mosariに対して何か言われた気がするが。
そんな訳で夕食の時間に。
カレーだった・・・!
当然美味しい。
シイタケ入りだし、やっぱり野菜がとても美味しく感じる。
Azuはたこ焼き付きで豪華だ。
2回おかわりしてお腹がはち切れそうだ。
食後はポンカンを作ってくれてる人に今日配達先で落としてしまったことを謝った。
すいません、今日陳列する時に大事なポンカンを3個床に落としてしまいました。
ダメになったんか?
いえ、これなら大丈夫と言われました。
ならええよ。気をつけぇ。
はい。すいませんでした。
ほんと気をつけないとな。
夜風呂に入ろうとしたら代表のIsamuさんに声をかけられた。
今あっちでシュラスコやっとるよ。レストランで食べるやつより100倍美味しいから食べいっておいで。
な、なんやて!
お腹はいっぱいすぎてヤバいのだがシュラスコは気になる。
シュラスコってブラジル版のBBQのこと。
出荷場に行ったら弓場の人に加えて現地のワーカーの方々がお酒を飲みながらシュラスコを食べていた。
どうやら牛用の保存食であるサイロが出来上がったお祝いなんだとか。
ブラジルという限りなく日本から遠い大地で日系の方と現地の方が仕事を労いながら食事とお酒を楽しんでいる。
頭上には満月が輝き彼らを祝福していて、まるで映画のワンシーンに出てくるような素敵な光景だと思った。
それを写真に残そうと思ったがお風呂に向かっている途中だったので、スマホを部屋に置いて来てしまっていた・・・
とても美しく、すごいエネルギーが満ち溢れた夜だった。
ちなみにいただいたシュラスコはレストランの1,000倍美味しかった。(まだレストランで食べたことないけど)
・・・
・・
・
今日は多くの新しい人と出会った。
配達チームの人、スーパーの人、日本語学校の生徒に赤羽先生、現地のワーカーの人。
たくさんの出会いと学びの機会に感謝しないとな。
洗濯しながら見上げた今日の月は本当に綺麗だった。
長くなってしまったのでここまでを前編としたいと思う。
次回は5日目〜9日目までを書こうと思います。
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ブログでは伝えきれない動画などもあるので合わせてぜひ。
ストーリーを要チェック!
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大変だけど充実した日々を送った弓場。
本当に書ききれないほどの経験と学びを得ることができています。
それでは!