皆様こんにちは。
先日羽田空港の発着枠が50便も増えるという記事を書いたところ多くの反響をいただきました。
それだけ皆さん羽田へ期待しているということですね。
mosariも羽田がどんどん便利になるというポジティブなニュースとしてお伝えしておりましたが、よくよく調べてみると大きな爆弾を抱えていることがわかりました。
世界的にも危険な空港に変わる可能性があり、近い将来羽田で重大な事故が発生するかもしれません。
どれくらい危険なのかJALの現役パイロットに聞いてきましたよ!
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羽田の進入角度問題
そもそも羽田空港に50便も一気に増やせたのは東京都心を通るルートが認められたからです。
詳しくは↑の記事をご覧いただきたいのですが、簡単に説明すると、
これまでは右側のように東京湾からアクセスしなければならず滑走路を効率的に使えていませんでした。
それが来年の夏から東京都心を通るルートが認められました。左側の図にあるルートです。
つまりこれまでは東京都心を通るルートは認められていなかったんですね。
理由は米国の横田基地があり首都の上空にもかかわらず制空権が日本になかったからです。
が、それも政府の交渉により解決して都心の上空を飛べるようになりました。(その代わり新規発着枠の半分は米国路線になりましたが・・・)
これでめでたく発着枠が増やせる・・・とはいかず、今度は新ルートの地上に住む住民からの猛反発が待っていました。
理由は単純明快。騒音と落下物ですね。
落下物はともかく騒音は日中だけなので我慢せいやーと住民に説明するもそう簡単に納得する人はいませんよね。
なんせ渋谷、恵比寿、目黒、大井町、新宿、広尾、白金高輪、品川と一等地を通るわけですから、騒音などで資産価値が下がることを恐れるのは・・・まぁ気持ちはわかります。
そしてここからが本題に繋がるのですが、そんな住民達を説得するために少しでも高度が取れるように進入角度を3.5度にすることが決定しています。
世界中の空港の進入角度は3度が標準です。羽田は3.5度。たかが0.5度の違いですが、この0.5度がとんでもなく大きな影響を与える可能性があります。
Twitterにわかりやすい図があったので紹介。
杉江弘氏(元日本航空機長)の話を聞くと、国交省が今回提示した騒音低減策が航空機事故のリスクを高める可能性があることに懸念を抱かざるを得なくなる…
↓#羽田新ルート|国交省の高度引き上げ策、元日本航空機長の指摘 – マンション・チラシの定点観測https://t.co/2YkjHkfmAL pic.twitter.com/4sRCWbfyHw— マン点(不動産ブログメディア) (@1manken) July 31, 2019
あくまでイメージ図ですが、進入角度が大きくなると従来よりも急降下になるのがわかります。
世界中の空港の標準が3度ということはこれが一番安全性と運用性のバランスが取れているということです。逆にこれ以上進入角度を浅くすると郊外の野原か海上にしか空港が作れないんでしょうね。
進入角度が大きいと何が起こるか
元JALのパイロットでもあり、安全推進部にも在籍していた杉江弘氏によると、ずばり尻もちを付く可能性が高まるそうです。
着陸事故が多発する理由
さて、進入角を3.5度にまで引き上げることによって、どのような事故が起きる可能性があるかといえば、まず第一に「しりもち事故」である。パイロットは3.0度のときよりも滑走路上空で、これまでより高い高度からフレアーと呼ばれる着陸操作を行う必要がある。この場合、急降下状態での機首の角度と、接地時の最終的な機首上げ角度との差が通常より大きくなる。そのためフレアー操作のタイミングによっては航空機の尾部が滑走路に接触し、ときに外板が破壊される事故にもつながりかねない。
一般にスムーズな接地ともなれば、尾部と滑走路との間隔は1メートル未満になることもあり、胴体が延長されたストレッチタイプの航空機ではさらに危険性が増す。しりもち事故は5月のロシア機の炎上事故で41名が亡くなった例や、修理ミスによって後に墜落事故につながったJAL123便(御巣鷹山)事故などが続いたように甘く見てはならない。
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/09/post_118163_2.html
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簡単にまとめると、
- 進入角度が大きいほど着陸時の機首上げ操作タイミングがシビアになる
- タイミングを誤ると航空機の尾部が滑走路に接触する可能性がある
- 胴体の長い大型の機材ほど危険性が高い
ということですね。
国内線ような小型機よりも大型機の方が危険性が高くなるようですが、新ルートにアプローチするのは当然国際線も含まれます。しかも慣れない海外のエアラインも多くアプローチするのでより危なそうですね。
現役パイロットの方も警鐘を鳴らしています。
3.5度パスのILSできるかできないかっていったらできますよ。ただ問題は内航だけじゃなく羽田慣れてない外航も多くくるのでそこが問題ですね。国内で羽田ベースのPなら慣れれば問題ないでしょうけどね。
— 𝑳𝑼𝑲𝑬®️ (@aviator0716) August 8, 2019
羽田ベースのパイロットなら慣れれば問題無いとも言っていますが、逆に慣れるまではリスクがあるということですね。
JALのパイロットの方も、
航空機が滑走路に向かって降下する時の角度を「進入降下角」といい、実はどの機種でも「3度」が適正となっています。スキー場などの傾斜に比べると、わずかな数字だと感じられる方もいらっしゃるかと思います。しかし、航空機は時速200キロほどのスピードで、限られた長さの滑走路に着陸をしなければならないため、角度が浅かったり深かったりすると安全でスムーズな着陸が難しくなってしまいます。私たちパイロットにとって、この3度はとても重要なのです。
パイロットは出発前に「TOD(=Top Of Descent)」と呼ばれる、3度の角度で着陸するための降下開始点を確認します。TODは、高度、距離、風によって変わるため、パイロットは、実際のフライト中さまざまな状況に応じて、操縦席にある速度計と昇降計を使い、上空で3度の角度を計算しながら飛行しているのです。
最新のハイテク機になると、3度での降下を確認できるシステムが装備されている機種もあります。しかし、システムだけに頼るのではなく、長年培ってきた経験をもとに、パイロット自身が常に3度を計算して絶えず確認を行っているのです。https://www.jal.co.jp/entertainment/cockpit/captain169.html
3度の重要性を語っています。
北側の新ルートを使うかどうかは風向きによって決まりますから、昨日は南側ルートで3度、今日は北側ルートだから3.5度か・・・なんてうまく順応できるものなのでしょうか・・・うーん、なんだか怖くなってきました・・
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より大きな問題
そんな危険性があるにも関わらず、政府は旅客機によるテスト飛行を未だに行っていません。
理由は「その時間帯に羽田に飛来する民間航空機を制限する必要があるから」だそうです。
国土交通省の責任者に「なぜ今、試験飛行をやらないのか」と聞くと、その時間帯に羽田に飛来する民間航空機を制限する必要があるからだという。
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2019/09/post_118163_3.html
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呆れた理由ですが、本当は実際にテスト飛行すると騒音の大きさで再反発されるから。なんて憶測も出ています。
すべてが決まった後に反発されても「もう決まったことだから。」と言えちゃいますからね。
シミュレーションはあくまで机上の空論であり、実機によるテストを行わないというのは安全の観点から見て絶対にありえない話です。
本当に3.5度で大丈夫なのか検証をせず、世界的にも3.5度の空港はある!という謎の理論のまま進んでいるというのは日本政府のヤバさを物語っていると思います。
一応テスト自体は予定していますが全長16メートルしかないセスナ機という・・・
大事なのは法案を通すことではなく、安全に運行できるルールづくりです。
現役パイロットに聞いてみた
本日実際にJALの現役パイロットの方にお会いする機会があったので羽田新ルートの3.5度問題について聞いてみました。
答えは「非常に大きな問題です」とのこと。
やはりリスクはあるみたいです。
ただし、3.5度だからって着陸できないかというともちろんできるそうです。
その点については力強く「大丈夫です!」と言っていただけました。
実際台湾の松山空港で気象条件によっては3.5度で着陸することもあるそうです。
この機長は767のパイロットなのですが、777などの大型機だとより難しいということおっしゃっていました。
これは他のパイロットの方もTwitterで言ってますね。
3.5度パスでこの条件つけられたら流石にスタビライズドアプローチは厳しいかと。旅客機Pなら分かるはず。
世界的に3.5度パスがあるのは分かるけどさらに
日本はフラップやギアダウンの制限をファイナルギリギリまでもってくるからそれがP泣かせ。777とかの大型機はさすがに厳しいんでない? pic.twitter.com/dddbWOcyJo— 𝑳𝑼𝑲𝑬®️ (@aviator0716) August 9, 2019
この方もやれと言われればやるけど、日本はさらに速度やフラップやギアの制限をかけてくるから、それどおりにするのはかなり難しいとも言っています。
ちなみに僕ちゃんは多分やらかしちゃうと思うんでこのレグのPFは拒否るかな😅
— 𝑳𝑼𝑲𝑬®️ (@aviator0716) August 8, 2019
どうも航空情報はすべて事細かく記録されており少しでも規定から逸脱すると厳しく罰せられるみたいです(;´∀`)
- 3.5度はできるかできないだとできる
- ただし各種制限を遵守しながら実施するのは難しい
- 特に大型機
まとめるとこんな感じですね。
目の前でパイロットの方に大丈夫です!と言われたので一安心。海外のエアライン?うーん(;´∀`)
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ゴーアラウンドが増える
先に触れたように航空情報はすべて記録されており、規定から逸脱すると厳しく罰せられるため、少しでも規定を超えそうな場合はゴーアラウンドするしかないみたいです。
Sink Rateの警告出まくってゴーアラウンド続出。もしゴーアラしなかったら、とりあえずPが罰せられて、下手すりゃクビ。P泣かせのアプローチになること間違いなし。会社によるだろうけど、とりあえずキャプテンオンリーのアプローチになる会社多そう。
— 𝑳𝑼𝑲𝑬®️ (@aviator0716) August 8, 2019
経験を積ませるために着陸は副操縦士が行うことが多いそうなのですが、難易度が高い3.5度の場合は機長自ら操作することになる可能性が高いとも指摘されています。
ゴーアラウンドが起きれば当然到着時刻は遅れます。1機だけでなく後続にも影響が出ます。
ゴーアラウンドの可能性があるのであればその分の燃料も多く積まなければいけないので燃費の悪化にも繋がります。
角度がつくので接地時の衝撃も大きくなるでしょう。ドシーン!!ってやつ。
あれ嫌いなんですよね・・・(;´∀`)
まとめ
ということで羽田の新ルートは世界的にも珍しい3.5度で運行されることになっており、これまでよりも危険なアプローチになることがわかりました。
ただし、現役パイロットの方によればできるできないだとできる。大丈夫です!とのこと。
ちょっと怖いタイトルにしてしまいましたが、パイロットの方を信じましょう!
でもパイロットのストレスがあがることだけは間違い無さそうです。
飲酒運転は駄目ですよー。
また、ゴーアラウンドが起きやすくなる懸念があるので定時運行率にも支障がでそうですね。
うーん、発着枠が増えて嬉しいはずが、裏側ではこんなリスクが生じていたとは・・・
逆に言うとここまでの方法をとらないと羽田の枠は増やせないところまで来ているということです。
これはもう成田に頑張ってもらうしかないですね。
成田ー!聞いてるかー?
それでは!
こんばんは。
今まで通りでいいんじゃない?って思っちゃいますね(笑)騒音を我慢するのが公共の福祉かと言われれば、滑走路を新造したら?ってなりそうですが。日本には色んな意味で危険な空間がたくさんありすぎ。
まつ様
こんばんはー。
そうなんですよー。ほんとに変えなくていいと思います 汗
騒音もほとんど変わらないみたいなんで・・・
やはりここは成田を拡張して都心から1駅で結ぶような高速鉄道を・・・
景観を守って洪水ゲットみたいなね。
不謹慎かもしれませんが事実ですし。
将来的な訴訟リスクに繋がりかねない。
まつ様
日本のお役所仕事にはほんとがっかりです。
本当に事故が起きないように祈るばかりです・・・
ゴーアラウンドが起きやすくなるみたいなので混雑や遅延も気になるところですし・・・
うーん(;´∀`)