カミーノ38日目 これが僕らが選んだカミーノだ スペイン【世界一周529日目】

【世界一周529日目】2024.10.9 スペイン

残り47.2km

Boente→Santa Irene

歩行距離24.4km

気温:12度〜15度

歩数:37,702歩

1ユーロ=163.32円

mosari
今日は歩くなと言われたハリケーンの日。バスを使えと言われたが僕らは歩く事にした。

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決断の朝

朝7時にゆっくりと起きた。

今日はハリケーンが接近しており朝早い時間は絶対に歩けない。

とりあえず起きて天気予報を見てからどうするか決める事にしていた。

とりあえず1階に降りて玄関を開けてみる。

写真だと伝わらないが横殴りの大雨。

うん、絶対に外に出れない。

今日は歩かない方がいいわ。危なすぎるわ。

同じアルベルゲの女性が忠告してくれた。

どうやらみんなは今日歩くのを辞めたか、バスかタクシーを使う人が多いようだった。

まぁ普通に考えたらバスだよなぁ。

安全だし靴濡らさなくて済むから明日快適だし。

朝食を食べながら天気予報を見て作戦会議。

とりあえず午前中は大雨、午後から少し落ち着くみたいだった。

少なくとも今は外に出れるレベルじゃないので午後出発かな。

到着が夜になっちゃうけど仕方ない。

このアルベルゲは9時までいられるし、隣にカフェもあるから安全に時間は潰せる。

とりあえずパッキング。

1階に戻って天気予報と睨めっこしていると福岡から来ている女性もやってきた。

彼女もいつ出発するか悩んでいるようだった。

とりあえず一緒にカフェで朝食を食べないか誘われた。

時間はあるしいいかなと思っていたら、

今は雨弱まってるみたいだよ。

Azuが天気予報を見ながらそう言った。

確かに天気予報を見ると11時が強いものの、9時、10時は弱まっていた。

そこで2つの案が浮上。

プランA:今から出て2時間後の11時にどこかの街のカフェで雨宿り、12時からまた歩き出す作戦。

プランB:12時まで待って弱まってからスタートする作戦。

AzuはA案、僕はB案がいいかなって感じ。

だって雨風強いの怖いし、靴浸水させたく無いし。

カフェのパラソルは今にも吹き飛びそうなくらい風に煽られていた。

でもあくまでこれは天気予報。

午後まで待っても弱くならない可能性もある。

それが最悪のシナリオだ。

そんな訳でAzuが今から歩く気があるならそれで行くか。

2人で作戦会議してたら福岡の方もゆっくり歩きたいからと言ってとりあえず歩き始める事にしたようだった。

そんな訳で彼女を見送って我々も腹を括った。

バックパックを背負ってポンチョを着て出て行こうとしたらドイツ人のマールティンが声をかけてくれた。

今日は辞めた方がいい、どうしてもというなら午後まで待った方がいいぞ。僕らはバスを使うつもりだよ。

安全を考えたらそうなんだよなぁ。

なんて言うか迷っていると、外からパートナーのブリジットがやって来た。

バス待ちは600人くらいいるみたい。一度に乗れるのは50人くらいだから…ハァ。

どうやらバス待ちもバス待ちで大変そうだ。

でもやっぱり歩きたいんだよな。

エレメンタルジャーニー。原始的な旅。

これが僕らの選んだカミーノだ。

バスも厳しいなら未練も無い。

僕らは行きます。また明日会いましょう。

そう答えた。

わかった。気をつけてな。

多くの人が心配してくれた。

ありがとう。

気をつけて危ないようならカフェに避難するようにしよう。

また明日サンティアゴで会いましょう。

覚悟を決めてハリケーンの中アルベルゲを出発した。

予想外の被害

アバババババ!

アルベルゲを出て5秒で後悔。

ポンチョが吹き飛びそうになる。

僕らのポンチョはスタート地点のサンジャンで買った9.5ユーロ(1,520円)の安物。

バックパックごと覆えるタイプのやつだけど前面と後ろ面を留めるのがボタンの廉価仕様。

強風だと耐えられる訳も無く、バタバタとポンチョが宙に舞っていた。

これだとバックパックをカバーできないから手で押さえないといけない。

でもそれだとトレッキングポールが使えない。

中々不自由だ。

風も強くてAzuの声も全然聞こえない。

ただただ強風に耐えながら歩いていく。

10分ほど歩くと森の中に入った。

ここは幾分風がマシだ。

これが続くといいななんて思いながら歩いていると見覚えのある2人がいた。

ちゃんと話をしたことは無いのだが良く見かける韓国人の夫婦だった。

こんな嵐の中歩くようなタイプには見えなかったから驚いた。

挨拶をして抜かしたが、すぐに水たまりだらけの場所になった。

どこを歩けば良いのか慎重に見極めながら進んでいると、後ろから先ほどの韓国夫婦が抜いて行った。

その堂々たる歩みは実に見事だった。

もう靴が濡れてるから関係ないわ。

そう言っているように見えた。

確かにここ数日の雨続きで靴が乾かず濡れたままの人も多い。

我々は運良く新聞紙が手に入ったり、雨が降る前にアルベルゲに到着できたり、シューズ用のドライヤーがあったりとびしょ濡れは回避できているが、そうでは無い人も多い。

彼らはきっと乾いていない。

いつも到着が遅いから乾かす余裕が無さそうだった。

だがそれゆえに彼らは今日強い。

グングンと先に進んでいく彼ら。

緩やかなカーブを曲がると信じられない光景を目にした。

川が増水していて道が無くなっていた。

これでは先に進めない。

だが韓国の2人は底の見えぬ川を進んでいる。

こ、怖くないのか?!

驚いていると対岸から旦那さんがこちらに何か叫んで手招きしている。

水の音でよく聞き取れなかったが、

Azuは「No choice(これしか道は無い)」、

僕は「Don’t worry(心配するな)」と聞こえた気がした。

せめて靴を脱ぐか迷ったが、Azuは川底がどうなっているかわからないから危ないと言っている。

それはその通りだ。

このまま行くしかない。

足元がどうなっているかわからないがおじさんが示す部分をゆっくり進んでいくAzu。

対岸から手を伸ばしてくれてAzuは無事に到着。

続いて僕の番。

川に足を踏み入れる。

つ、冷たい(;´`)

一瞬で靴の中に水が入って来た。

あーあー。

これで明日からびしょ濡れの靴生活だ。

おじさんは僕には手を伸ばしてくれなかったが無事に対岸に着くことが出来た。

お礼を言って再び歩き出す。

ジュッポ!ジュッポ!

歩く度に靴の中の水が不快だ。

でもこれでようやく今日歩く覚悟が完了した気がするする。

もう靴が濡れるのを恐る必要は無い。

後は子供みたいにこの道を楽しむだけだ。

ブエンカミーノ!

この間の雨の時は辛くて挨拶ができなかった。

今はあの時よりも状況は悪いけど、笑顔で挨拶をしていく。

サリア以降は挨拶をしないでグループで喋りながら歩いている人も多いが気にせず挨拶していく。

辛い時こそ元気に楽しくだ。

森の中は倒木も多く、ハリケーンの凄さが伝わってくる。

そんな爪痕の残る森を抜けると街に出た。

街の入口には橋がかかっていたが、もうすぐ氾濫してしまうんじゃないかと思うくらい増水していた。

さっきみたいに川を渡らずに済んで良かった。

橋を渡っていると1台のタクシーがやって来た。

ギャハハハハ!

抜き際に助手席の男が窓からスマホを出して僕らのことを撮影しながら下品な笑い声をあげていた。

こんな雨風の日に歩いてるなんて馬鹿じゃねーの?!

つまりはそう言いたいのだろう。

ムカついたがそれどころではないものが目の前に現れた。

橋の対岸が氾濫していたのだ。

こ、ここを進むのか。

さっきよりも深く、幅がある。

すでに靴が濡れてるとはいえこの深さは抵抗があるぞ…

しかも先ほどのタクシーは川を渡ったところで止まり助手席の男が降りて来た。

手には未だスマホ。

この川を我々が渡っているところを撮りたいのだろう。

ムカつくので一旦ストップ。

こっちはポンチョを着ているがそいつは無防備だ。

案の定、こちらがすぐに渡らないとわかると助手席に帰って行った。

全くピルグリムの風上にもおけんな。

まぁしゃーない。いくか…

意を決して川に入る。

すでに靴の中は濡れていたが新鮮な冷たい水が入り込んで来るのがわかる。

ねぇ!なんかこれ臭くない?!

Azuの感想は正しい。

恐らく隣にある建物は牛の宿舎だろう。

つまりは牛のう⚪︎こまみれの水ということだ。

そんな水をたっぷり足首の上まで浸かってしまった。

気持ち悪い(;´∀`)

出発から8.5km先にあるArzúaという街に着いたが時間は11時20分。

そこそこ雨が強い。

当初の予定より到着が遅れてしまったがカフェに入って雨を凌ぐことにした。

でも街の入口にあったカフェは大混雑。

仕方ないのでその次に営業していたバーに入った。

コラカオにオレンジジュース(フレッシュ)にトルティージャにパン。

お会計をして目ん玉が飛び出た。

これで12.2ユーロ!!(1,975円)

ありえない…

レシートを見るとトルティージャが6ユーロ。パンが1.2ユーロだった。

このサイズのトルティージャならパン付きで2.5ユーロくらいで食べれていた。

高くても3.5ユーロ。

これまでの倍以上の値段だった。

ほんとサリア以降はビジネスライクだな…はぁ。

バーに入る時にポンチョは脱いでいるのだが、風が強かったせいでポンチョの隙間から雨が身体に当たってそこそこ濡れてしまっていた。

歩いている時は暑かったけど、座っていると結構寒い。

風邪をひかないか心配だ。

そんな訳で早々に再出発。

残りはまだ16kmほどあるので4時間は歩かないといけない。

中々ハードな日だ。

ここからも道の途中でよく倒木を見かけた。

ひぇー。

倒木の隙間を通る。

こちらは電線を巻き込んで倒れてしまっていた。

きっと周辺は停電してるに違いない。

13時ごろになると少し雨が弱まって来てくれた。

そこからはペースをあげて再び2時間で休憩。

残り8km。

2時間分のエネルギーを注入しつつ、持っていたサンドイッチを食べた。

途中で逆走しているピルグリムを発見。

水が溜まってて通れないわ!

その先にはアンダーパスがありそうだったがそこが水没してしまっているようだ。

車に気をつけて横断して反対側に渡る。

そこでアンダーパスが見えたが確かに水没してしまっていた。

ほんとすごい雨量だったんだな…

もちろん倒木もあちらこちらにある。

うわわ。

あわわ。

ひえー!

ハリケーンの爪痕に驚きながら歩いていると、少しだけ青空が広がっているのが見えた。

宿までこのまま止んでいてくれ!

そう願いながら歩いていたが、アルベルゲの直前でまた雨が降り出した!

ギリギリセーフ!

今日は24.6kmを休憩込みで6時間40分の旅路で16時の到着だった。

Albergue Rural Astrarだ。

巡礼路から700mほど離れているがそれゆえに空いていたのだ。

2人で28ユーロ(4,535円)。

ちょっと高め。

だけどいいんです。

うひょー!個室ぅぅぅう!!

でもまさかの2段ベット!!

安いからAzuは2段ベットなんじゃ無いかと疑っていたが大正解!

でもこの値段で個室はありがたい。

やはり気が楽だ。

まずはシャワー。

あったかいシャワーに癒された…

そして洗濯。

到着が遅かったし乾く可能性が皆無なのでランドリーサービスをお願いした。

お願いするのは初日ぶりだ。

当然乾燥もお願いした。

合計7ユーロ(1,135円)。

痛い出費だけどこれで1時間以上節約できる。

そしてその後は泥まみれになった靴を洗った。

新聞紙は無いそうだ。

ということは乾かない事が確定した。

明日はびしょ濡れの靴を履いてスタート。

テンションめっちゃ下がるだろうな。

そしてせっかく乾かした靴下も一瞬で濡れる。

今日は濡れたままずっと歩いていたので少しマメができてしまった。

明日も濡れたままだときっと悪化してしまうだろう(;´∀`)

悲しいが仕方ない。

これもまたカミーノだ。

この街には食事が取れる店や商店が無いのでオスピタレロがデリバリーサービスを頼んでくれるようだった。

そんな訳でオーダー。

ハンバーガー6.5ユーロ(1,055円)を2個、ラザニア12ユーロ(1,945円)をオーダー。

約4,000円の高級ディナーだ(;´∀`)

でもハンバーガーは具がたっぷりで凄かった。

トマトが4枚も入っているのには驚いた。

ラザニアもアツアツで美味しかった。

お腹もかなり満たされた。

食器を洗っていながらカナダ人のマリーンと話をした。

彼女は男性と2人で歩いていて、2週間以上前に歌うオスピタレアの宿で一緒だったのでよく覚えている。

男性もカントリーロードを歌っていてめちゃくちゃカッコよかったんだよな。

明日はついにサンティアゴね!

はい!39日もかかりました。

あら!私たちと一緒ね!

なんと出発日が一緒だった。

同じ日にスタートしていたなんて感慨深いな。

っていうか60代か70代と思われる方と同じペースの我々…

あなた達はとても可愛らしいわね。結婚してるの?

はい、10年前に。あなた達は?

私たちは44年前よ。これからもプリティーウォークを続けてね。

プリティーウォーク。

2人仲良く一緒に歩くってことかな?

もちろん続けるぞ。

日本に帰っても散歩は続けたいな。

距離は5kmくらいかもしれないけど(;´∀`)

夜は部屋に戻ってまったり。

個室最高です。

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明日はついにサンティアゴです。

ゴールです。

でもそんなことよりも明日の朝びしょ濡れの靴を履くのが嫌すぎて困ってます…

それでは!



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名前:mosari
年齢:30代アラフォー
性別:男性

2023年4月2日から夫婦の夢だった世界一周の旅に出ました。

小学校の同級生夫婦のポンコツ世界一周旅で世界の絶景、地球の美しさ、多種多様な文化を見てきます。 現在は3ヶ月のフィリピンでの語学留学を終えて、世界を巡ってます。

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