【世界一周535日目】2024.10.15 スペイン
残り16.7km
Santo Estevo de Lires→Fisterra
歩行距離20.0km
気温:17度〜20度
歩数:27,186歩
1ユーロ=163.36円
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最後の朝
昨日の夜は久しぶりに蚊に悩まされた。
スペインはハエが恐ろしいほど多いが蚊は見ていなかった。
あの音はやはり不快だなぁ。
アラームで目を覚ます。
時計は7時半。
いつもならすでに歩き始めている時間。
でも今日は予定通りだ。
なんせ朝方まで雨予報だったのでルームメイトも含めてみんなゆっくりモードなのだ。
宿が10時チェックアウトなのがありがたかった。(通常アルベルゲは8時チェックアウト)
まずは朝食。
昨日はムシアの街で大型スーパーに寄れたので食べ物はバッチリ。
天気予報的には10時から雨は弱まるとのこと。
ゆっくり準備しつつルームメイトのスロベニア人と話をしながら外の天気を伺う。
よし今だ!
雨が弱まったタイミングでバックパックを背負って外へ。
いや、たった今の1分でめちゃくちゃ雨強くなってるじゃん…
ほんとだねぇ。
出鼻を挫かれることになったが、この雨の中歩き出すのは辛い。
一度バックパックを下ろして再びタイミングを測る。
5分ほどで雨は弱くなって来てくれたので出発することにした。
最後のカミーノ
かなり雲行きは怪しいがほぼ雨は止んでくれている。
びしょ濡れの道路を歩いて街の外れへ。
もう9時過ぎなので明るい。
やっぱり真っ暗な森の中を歩くのは昨日で最後だったね。
もう今日で歩くの終わりなんだね。なんだか清々しいよ。
ね!すごい清々しいよね。
サンティアゴに到着する日はまだ続きがあったけど、フィステーラに着いたらもう終わり。
長かった旅の終わりが目の前に迫って来ている。
それを何故か清々しいと感じていた。
街の出口で1人の女の子が街に入ってくるのが見えた。
つまり彼女はフィステーラから来たことになる。
我々はムシア→フィステーラだが、逆にフィステーラ→ムシアの人も多いのだ。
その子は我々の姿を見るとブンブンと手を振って来た。
誰だか最初わからなかったが近づいてようやくわかった。
これまで何度か出会ったことのある韓国お嬢だった。
韓国の人は2人以上で歩いていることが多いのにその子は1人だったし、抜く時に挨拶をするとペコペコ頭を下げてくれるもんだからすごい印象に残っていた。
数日前にフィステーラからムシアに向かうと聞いていたのでどこかですれ違うとは思っていたけど、ちゃんと会えたみたいだ。
良かったらSNSのアカウントを交換しませんか?
彼女からの提案はもちろんYESだ。
きっと明日もサンティアゴで会えることだろう。
我々はフィステーラへ、彼女はムシアに行ってカミーノを終える。
最後の1日を楽しみましょう。
そう言ってお別れした。
何度か小さな山を越えた。
小さな小さな村も何度か通り過ぎる。
何度も繰り返して来たけどもうそれも今日で最後なのだ。
モホンを頼りに地図すら見ずにひたすら歩き続けた44日間。
どこまでも伸びる道を見る度に「あそこまで行くのか…」なんて思ったものだがそれももう終わりだ。
山を何度か越えると遠くにまた海が見えた。
終点まで残り7kmほどだろう。
出発からまだ1時間半だったがカフェというか休憩所があったので休む事にした。
なんせどこにカフェがあるのか全くわからなかったので休める時に休んだ方が良かったからだ。
ドネーションでコーヒーやビスケット、トーストなんかを提供しているようだった。
我々はコーヒー(ミルク入り)をいただき、持っていたサンドイッチとビスケットを食べた。
コーヒーはぬるかったけど、こうして座って休めるのはありがたい。
しかも寄付制。
ありがとうございます。
休憩後も元気に歩き出す。
登っては降りて、登っては降りる。
決して大きな山では無いがAzuの歩みは力強さを感じた。
最初の頃の弱さは感じられない。
1歩1歩踏み出して、登り切るまで頑張って歩いていた。
前はあんなに途中で立ち止まっていたってのに。
わたし、頑張ってるよね?!
うん、頑張ってるよ。
本当にね。
そして山を超えて長く真っ直ぐな道に差し掛かった。
遠くには海が見える。
残りは4kmほど。
もう今から山は超えないだろう。
つまり最後の山が終わった。
後は坂を下って街に入るのだろう。
急に終わりを実感。
うわー!ヤバい!もう終わるぞ!終わってしまうぞ!
何度もそう言いながら進む。
昨日からお世話になっている「FISTERRA」行きのモホン。
これが導いてくれるのも後わずかだ。
坂を下った後にもう少しだけ登り坂があった。
ハァハァ
がんばれ!もうこれが最後の登りかもしれんよ!楽しんで!
もうモホンの先に街見えてる!
もう着いちゃうよ!長い旅が終わるぞ!
長かったーーー!!
そしてついにその時がやって来た。
スタートは9月2日、今日は10月15日。
実に44日!
ひたすら歩いて歩いて歩き続けてたどり着いたサンティアゴ デ コンポステラ。
そこからおかわりで歩き続けてムシアを経由してやって来た。
最果ての街であり終わりの街。
FISTERRAにやって来た。
Azu選手ゴーーール!!
と、言いたいところだがここはまだ街の入口。
本当のゴールは4kmほど先の岬にある。
街の途中で巡礼事務所に寄る。
お目当てはフィステーラの到達証明書。
ムシアのお兄さんはめちゃくちゃ歓迎してくれていたけれど、フィステーラのお姉さんは事務的に発行してくれるだけで感動っぽいのは無かった。
んでその後は明日のバスチケットを買えないかオフィスをチラ見したけどカウンターはシエスタで空いていなかった。
仕方ないので岬へ向かう事にした。
もうアルベルゲのチェックインができる時間だったけど、最後までバックパックを背負って向かいたい。
楽をすればいいのに。
そう思わんでも無いが、まだ身体は動く。
なら最後まで歩ききろう。
何故なら楽しめるのも今日が最後なんだから。
街を抜けると登りが始まった。
登りなのはいい。
最後にもう一踏ん張りが必要なのは嫌いじゃない。
だが、道が悪い。
車道は車がそこそこ通るし、その脇の歩道は道幅が狭く、帰りの人とすれ違うのも気を使う。
最後なのにイマイチな道を歩いていると、何かの像と、その奥に何か建物が見えた(写真だとほぼわからず)。
たぶんあれが目指すゴールだろう。
ゆっくりと登っていく。
もうゴールは目の前だ。
終わる、終わってしまう。
この1歩1歩は確実にゴールに近づいている。
サンティアゴでも止められなかった足を止める場所がもうすぐそばに迫っている。
残り356m!
もう1kmを切っている。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
終わって嬉しいような寂しいような。でもここまで歩いて来れたのはやっぱり嬉しい。
でもゴールしたらもう歩けない。
もはや歩くのは日常だ。
当たり前のことが出来なくなる。
終わってほしく無い!
道よ続いてくれ!
そう願ってみたものの、それは静かに佇んでいた。
0kmのモホン。
ゴールだ。
終わった。
僕らの長い旅が終わったのだ。
なんとも言えない感情の支配から逃れられたのは近くのおじさんに声をかけられたから。
写真を撮ってくれないか?海と灯台を入れてな。
もちろん。
スマホを返すと僕らのことも撮ってあげると言ってくれたのでお願いする事にした。
長い旅の果て。
0kmモホン。
その距離。
実に、
…
…
…
900kmである。
東京から福岡まで歩いたことになる。
とんでも無い距離だ。
モホンの先にある灯台の脇に階段があったので降りてみた。
そこには岩場があってその先には海があった。
曇ってはいたけれど、海と雲の境界が曖昧で幻想的な光景だった。
2人で岩に座る。
なんとも言えない感情が2人を包んでいた。
なんだかうまく考えがまとまらない。
油の切れたぜんまい仕かけのロボットみたいにぎこちない会話。
だから2人でじっと海を眺めていた。
しばらくして僕が口を開いた。
楽しかった。Azuと一緒に歩けて幸せだった。ありがとう。
私も楽しかった。1人じゃ絶対歩いてない。ありがとう。
なんかもっと色んな達成感とか喜びとかそんな感情に支配されるのかと思っていたけどそうじゃ無かった。
たぶんこの会話が僕らのカミーノを表しているんだと思う。
感謝と幸せの道。
フランスから続く900kmの道は感謝と幸せの道だ。
僕らが歩いたこのフランス人の道は本当によく出来ている。
一部の例外区間を除けば5kmほどで宿もカフェもある。
好きなタイミングで休憩できるし、歩く距離も体力に応じて決められる。
しかも道は安全。
外国人である我々が朝日が昇る前の真っ暗な時間帯に街の郊外、森の中、山の中を歩けるってのは世界的に稀な道と言える。
日本でも街灯のない森の中を1人夜歩くのは怖いですよね?
しかも地図いらず。
モホンが我々を導いてくれる。
そんなシステムを整備してくれたのもありがたいし、宿(アルベルゲ)やカフェのスタッフの人々にも感謝だ。
特に1日の終わりを過ごすアルベルゲを運営しているオスピタレロ(オスピタレア)は安い料金で巡礼者を受け入れてくれる。
彼らのおかげで僕らは歩けると言っても過言ではない。
巡礼路沿いの住民にも感謝の心を忘れてはならない。
ブエンカミーノ!
そう言って応援してくれるのだ。
もちろん一緒にサンティアゴを目指した仲間たちもだ。
彼らは色んな理由があって歩いているが、基本的にめちゃくちゃポジティブだ。
彼らは僕らの拙い英語をちゃんと聞いてくれて、僕らの選択を応援してくれる。
カミーノハグだ。
そう言って力強く僕らを応援してくれた暖かさを僕は生涯忘れないだろう。
そんなエネルギーに満ち足りた人々がそこら中にいる。
世界で1番ポジティブなエネルギーに満ち足りた道なんじゃないだろうか。
美しい自然もそうだ。
観光地みたいに絶景があるわけじゃないけれど、それでもヨーロッパの田舎らしい美しい道がどこまでも続いていた。
この自然にも感謝しなければならない。
あまりの広さに、
地球を歩いた
そう思ってしまうほどだ。
エネルギーに満ち溢れた巡礼者との出会い、支えてくれるアルベルゲやカフェの人々、美しい自然。
それらに感謝しながら歩いた900km。
本当に色んなことがあった。
それらの経験をAzuと一緒に歩けたのは幸せ以外の何者でも無い。
君はラッキーボーイだな!
君たちは有名だよ!
あなたたちはとても可愛らしい夫婦ね。
家族が1番よ。あなたの選択は正しいわ。
多くの人が我々の旅を祝福してくれた。
こんな素晴らしいことがあるだろうか。
そもそも日本のシステムではカミーノを歩くのはとても難しい。
そんなに長期で休みをとることが出来ないし、それが夫婦揃ってなんてなおさら難しい。
それは少し大袈裟かもしれないけれど、小さな奇跡みたいなものだ。
夫婦で奇跡を起こして歩いた。
いくら時間があっても足らない世界一周中、しかも貴重なシェンゲンの90日間の半分を使ってカミーノを歩く選択をした我々を褒めてやりたい。
40分くらい海を眺めて、ようやくカミーノを終わらせる決心がついて立ち上がった。
Azuと最後にハグをして、僕らは歩くのを終わらせた。
岩場には靴のオブジェがあった。
昔は終わりを祝してここで衣類や靴を燃やす習慣があったそうだ。
今では禁じられているが、それでもあちこちに焦げた跡が残っているのはそういう事なんだろう。
僕らはもちろん燃やさないけれど、この動けない靴を見て、終わったんだと改めて実感した。
これ以上道も無いし、僕の膝は限界寸前だ。
壊れる前に終わりだ。
灯台を離れてアルベルゲに向かう事にした。
3kmの距離はあっという間だった。
アルベルゲにチェックインしたらバックパックを降ろすことになる。
ちょっとした寂しさを感じながらチェックイン。
Albergue y Pensión Finistellae
終わった記念で今日は個室をとっている。
36ユーロ(5,835円)。
カード払い可。
個室は建物が別のようで2分ほど歩いた。
レオンぶりのダブルベッド。
ドミトリー生活とはお別れだ。
しかし部屋は良いがこっちの建物にはキッチンが無くお湯すら沸かせないようだった(;´∀`)
シャワーは部屋に専用のものが付いており、アツアツ。
しかも清潔だしタオルまで付いていた。
圧倒的に感謝!
洗濯場が無いのでシャワーついでに手洗いして部屋に干した。
湿度が高いので普通に干していたら絶対に乾かない。
壁際のヒーターの電源を入れてその上に干しておいた。
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そうだ肉を食べよう
時間は18時。
そろそろ腹が減って死にそうだ。
宿の目の前のアサドールに入った。
アサドールとは肉屋のことだ。
疲れた身体を癒すには肉だ。
肉は全てを解決する。
食事は19時からと言われたので先にスーパーに寄ってから再び来店。
先に飲み物でも飲んで待っていれば良いだろう。
カミーノ900km完歩!かんぱーーい!!
僕はビール、Azuは珍しくコーラだ。
美味い、美味すぎる。
上のグラスの後ろはアルゼンチンのバリローチェの写真だった。
隣はイグアスの滝。
そのことを話題にしていたらお店のママが「この店に飾ってあるのは全部アルゼンチンよ。あれはブエノスアイレス、あっちはサルタ、あれはペリトモリノね」と、教えてくれた。
我々はこの世界一周中にアルゼンチンにも訪問済み。
ママの言ってる地名は全然わかるし、そのことを伝えたらめちゃくちゃ嬉しそうだった。
そしてママが店の名前を教えてくれた。
Asador Criollo Los Argentinos
はい、アルゼンチンのご夫婦がやられているお店でした。
もうこの時点で当たりが確定したようなものだ。
アルゼンチンといえば肉なのだ。
そして運ばれてきた料理。
まずはサラダ。
これで1人前。
2人前頼んだらママが「多いからやめた方がいい」と、アドバイスをくれた。優しい。
確かに1人前をシェアでちょうどよかった。
何故なら次のメインがすごいから。
ドンッ!
肉である。
もはや写真だと伝わらないが、
- 牛3枚
- 鶏1枚
- 豚9本
- チョリソー2個
とめちゃくちゃ量が多い。
しかも!しかもですよ!
ポテトは揚げたてだし、鉄板の下に炭が入れてあって暖かさを保つ気遣い、そしてソースはチュミチュリソースゥゥッ!!!
アルゼンチンで食べた時にどハマりしたチュミチュリソースがこんなところで食べれるとは嬉しすぎる。
いや、スペイン料理食べろって話なんですけどチュミチュリソースは有り!
とにかくボリュームがあるしマジで美味しい。
mosariはこのカミーノ中にどれが1番美味しかった?
この肉。牛ね。
即答。
鶏は世界中どこでも無難に美味しい。
豚はたまに癖がある。
牛は安いと結構外れることがある。
だけどこの店は圧倒的に牛が美味かった。
後からやって来たベルギー夫婦も我々の肉を見て興味津々。
メニューを教えてあげると一緒の肉プレートを頼んでいた。
どうだい?!うちの肉は!
元気なママが聞いて来た。
めっちゃ美味しい!チュミチュリソースも最高!
そうだろう!私がこのソースを作ってるんだよ!
嬉しそうで誇らしそうなママ。
頑張って食べきるとママもベルギー夫婦も拍手してくれた。
もう食えん。
大、大、大満足!
デザートも勧められたけど本当に腹いっぱいなのでお断り。
お会計は40.1ユーロ(6,560円)。
内容を考えると激安だ。
日本で食べるより安いと思う。
すぐ隣の宿に戻るが、どうしてもスッキリさせたくてコーラを1本自販機で買って飲んだ。(1.3ユーロ)
これで完全に締めだ。
その後は部屋に戻ってゴロゴロ。
もう明日から早起きしなくて良い。
というか腹一杯で寝られない。
久しぶりの個室のダブルベッドに2人で横になる。
おもむろにクレデンシャルを取り出すAzu。
このスタンプは最初サンジャンでもらったやつでしょ。これは巡礼事務所で、これがオリッソンのアルベルゲでしょ。これは〜…
カミーノ中に集めたたくさんのスタンプを見ながらたくさんの思い出を振り返った。
良いカミーノだった。
本当に心からそう思う。
Azuと2人で歩けてよかった。
1人ならクレデンシャルにこんなにスタンプも集めてなかっただろうし、この思い出を一生共有できるなんて最高だ。
長い夜を2人でゆっくりと過ごした。
フランスのサンジャンからスタートし、サンティアゴを経て、フィステーラまで900km。
無事に完歩です!
パチパチパチパチ!
■Instagramはこちら
フォローするとAzuとmosariが喜びます。
ブログでは伝えきれない動画などもあるので合わせてぜひ。
ストーリー欄を要チェック!
フォローといいね、コメントお気軽に。
https://instagram.com/jgclife.globe_trotting
明日はバスでサンティアゴへ戻ります。
それでは!
お二人ともおつかれさまでーーーーーす👏🏻👏🏻👏🏻🔥❤️😌
毎日一緒に楽しんでました🙂↕️身体の節々の痛みはあるかもですが、大きな怪我等はなく、無事に歩き終えれて私も安心です🥹
また残りの旅も楽しみにしてます💖🙏
yukaちゃーん!
ありがとーーー!
いやーほんと無事に歩き切れるとは思ってなかったので自分達もびっくりしてます。
もう少し旅を続けるのでもうちょっとお付き合いくださいませー!
mosariさま、Azuさま
お疲れ様でした。
毎日ブログ楽しみしてましたー。
2人ともお疲れ様でした!
900km徒歩移動の経験は人生でなかなか体験できないですよね!きっと人生を終える最後の一瞬まで記憶に残る貴重で且つ素敵な体験だったと思います。
ブログを通じて色々共有下さりありがとうございました。
これからドイツ、ニュージー編も楽しみにしてます!
Ryoさま
ありがとうございます!
毎日読んでいただいていたとのことで嬉しいです。
なかなか毎日変わり映えのない記事だったと思いますが(;´∀`)
本当に忘れられない貴重な時間を夫婦で過ごすことができました。
もう少しだけ旅は続くので引き続きよろしくお願いします!