皆様こんにちは。
先日仕事中にやほーニュースを見てサボって世界情勢をチェックしていると面白い記事を見つけました。
見出しは「搭乗しなかった」客を航空会社が訴えた事情 です。
東洋経済オンライン 「搭乗しなかった」客を航空会社が訴えた事情
簡単に概要を説明すると乗継ありの往復のチケットを買ったものの、復路の乗継地点で違うチケットを使って最終目的地に行かなった乗客をルフトハンザ航空が訴えたんです。
【予約内容】
往路:A地点→B地点乗継→C地点
復路:C地点→B地点乗継→A地点
まぁ至って普通な予約内容ですよね。
【訴えられた乗客が取った行動】
往路:A地点→B地点乗継→C地点
復路:C地点→B地点→別チケットを使ってD地点
予約内容と違うのであまり褒められる行動ではないですが、訴えられるほどじゃないんじゃないかなぁと思いました。
んでこのように途中でどっか行っちゃうことを「飛び降り」って言うそうです。知らなかった。
スポンサードリンク
なぜ訴えられたのか
ルフトハンザ航空は利用規約違反として2112ユーロ(約26万4000円)に利息を加えた損害賠償を請求しています。
利用規約ってやつを探してみました。
ルフトハンザ航空のHPからそれらしいところを探してみます。
たぶんこれかな?
Deutsche Lufthansa Aktiengesellschaft
第 3.3.3 条 利用順序が固定された航空券運賃を選択したお客様は以下の点に注意してください。その他の形で旅行データが変更されていない航空券が一部利用されなかった場合や予定の順序で使用されなかった場合、当社は変更された旅程に従って料金を再計算します。 料金はお客様が予約された日の価格帯に基づき、実際の旅程でお客様が請求されたはずの金額を計算することにより決定します。料金は 当初支払った金額より高くなることも低くなることもあります。
多分今回の件は赤字にした「航空券が一部利用されなかった場合」に引っかかっているものと思われます。
ふむ。規約には一応書いてあるわけですが、これってそんなに珍しく無いレベルでやっちゃってる乗客もいる気がします。
乗継時に眠りこけて次のフライトに乗れなかった場合とか。
そんなうっかりさん全員がこの制度によって差額を徴収されているかというとそうではないです。何故今回は訴えられてしまったのでしょうか?
それは直行便と経由便の料金差による歪みがあるからでしょう。
なお、記事によると多くの航空会社が同様に規約で禁止しているそうです。
JALとANAのHPを見てみたけどどっちもすぐには見当たりませんでした。けしからん。
今回のルフトハンザのケースだと、結果的に出発地と到着地が違うのでオープンジョー扱いになり、結果往復割引運賃が適用できずに金額が増えた。
ということかな?
が、これもちょっとおかしな話です。
何故乗客はこんなことをしたのか
実際の予約は
オスロ(ノルウェー)→フランクフルト(ドイツ)乗継→シアトル(アメリカ)
の往復だったそうです。
が帰りのドイツで国内線のチケットを使ってベルリンに飛んだそうです。
途中で気が変わってベルリンに飛んだわけでは無いそう。
どういうことか?
つまり、この乗客はベルリンに住んでいるが、アメリカに行くのにルフトハンザの直行便よりもノルウェー発、ドイツ乗継、アメリカ行きを選択したということです。
別に悪いことではありません。ベルリンに住んでる訳ですからノルウェーまで別途航空券を用意する必要があるものの使い方としての問題はありません。
何故そんな事をする必要があったのか。
ずばり、直行便よりもドイツを経由した方が安かったからに他なりません。
でもこれってそもそもおかしいですよね。
だって経由すると言う事は2区間分のフライトが必要なのだから、コストとしては直行便よりも高くなります。
にも関わらず経由便の方が安いという矛盾。
乗継は実に一般的なフライトですからここが赤字の訳がありません。乗継でも充分に利益は出ているという事です。
スポンサードリンク
直行便の方が高い
原価は直行便の方が安いにも関わらず料金が高い理由。それは「直行便は便利だから高くても乗客は買うでしょ?」という言い分でしょう。
そりゃ直行便の方が安かったら経由便をわざわざ選ぶ理由はほぼ無いですけど、足元を見られている気がします。
日本からフランクフルトに行こうと思ったら、JALの直行便があります。半年後の最安値をJAL探してみると大体155,000円くらい。
それがカタール航空なんかを使って乗継ぐと119,500円くらいです。
カタール航空は直行便よりも値段を下げないと売れないから安くせざる得ない。
一方でJALは強気の値段で攻めることができます。
直行便を持つ航空会社は高い値段を維持し、コストが高いはずの経由便は安くしないといけない。
直行便同士で価格競争が起きてくれるとありがたいのですが、実際はそんなことはなく、お互い身を削るのを避けるために安易な値下げはしない。
航空業界は他の市場のように価格破壊をもたらすようなイノベーティブな企業が出てこないですからね・・・
こうなると直行便の利益率はとても高いという事が推測できます。
まさにルフトハンザが訴えたのはここがポイントなんじゃ無いかと。
ルフトハンザとしては利益率の高い直行便を使って欲しい。
だから北欧からの安い経由便は使われたくない。
よし、規約違反の体で訴えれば真似する乗客は減るだろう!
というロジックなんじゃないかと。
もちろん最後のノルウェーまでちゃんと戻れば何も違反が無いので訴えようもありませんが、最初から搭乗の意思の無い「飛び降り」は防ぎたいのでしょう。
今回のルートの金額を見てみます。
まずはフランクフルトからシアトルへ行く直行便を調べてみると・・・
872,83€でした。
1€=127.3円とすると111,111円ですね。
そして今回の原因となったオスロ発シアトル行きのフランクフルト経由便を見てみると・・・
6,049ノルウェークローネですね。
1ノルウェークローネ=13円とすると78,637円。
おぉ。32,474円も安くなりました。
やっぱりおかしいですね。同じフランクフルト-シアトル間を使っているのに、経由便にすると安くなるんです。
もちろん今回の件でいうとベルリンからオスロまでの別途チケットが必要ですが、欧州はLCCが発達しているので安いものであれば5,000円程度で行くことが可能です。
帰りのフランクフルト-ベルリン間も必要ですが同程度の金額とすれば、経由便+LCCの組み合わせのほうが安くなりますね。
なお、今回の乗客はビジネスクラスだったそうなので、より値段の差がありました。
同じように半年後の金額で検索してみたところ、
直行便は3982.83€(505,819円)
経由便は23,554ノルウェークローネ(306,202円)
と、20万円近い差が生まれています。こりゃ経由便にしたくなる気持ちがわかりますね。
ということで直行便のほうが高いんです。航空券の常識ですがやっぱり納得がいかない。企業側の言い分はわかりますが、消費者にとって不利な状況はよくない。
だから今回のような「飛び降り」が起きたわけですね。(オスロに行ってまたベルリンに戻るよりもフランクフルトからベルリンに飛んだほうが1回搭乗を減らせるので時短にもなる)
最初から直行便を安くすればこんなこと起きないんです。
あっ、ちなみにこのルフトハンザ航空の訴えはベルリンの地方裁判所が退けています。そりゃそうですよね。
前述のJALとカタールの例は別企業ですが、今回のはルフトハンザ同士の金額ですからね。
でもルフトハンザ航空は諦めずに控訴するみたいです。
最後に
今回の記事を見て思ったのは、
- 飛び降りは規約違反なので注意しなければいけない
- 直行便安くなれ
です。
前者は今回の件ではルフトハンザ航空が今のところ負けていますが、不適切な乗客ということでマイレージプログラムの剥奪といった企業内で取れる手段はやろうと思えばできてしまいます。
JALグローバルクラブ会員(JGC)やスターフライヤーズ会員(SFC)といった上級会員であっても規約違反で資格剥奪ということも無い話ではありません。気をつけましょう。
そして直行便が高いのはやっぱり納得がいかん。
それならばせめて都市間を直行便で結ぶポイントトゥポイント方式にして、利便性をあげてくれーって思います。
現在は主要空港同士を大型機で結び、そこから小型機で目的地まで乗継ぐハブアンドスポーク方式が主流です。
B787やA350といった高性能な中型機が生まれたので長距離であっても快適に燃費良く飛べるようになってきているはずなので、今後はポイントトゥポイント方式に戦略シフトする航空会社も出てくると信じたい。
JALは・・・無理だろうなぁ。。。ANAのほうが期待できるでしょう。
参考までにJALの国際線の路線数は「54」
ANAの国際線の路線数は「65」
JAL 運行路線数
ANA Fact Book 2018
ANAのほうが直行便が多く、先日もウィーンに就航が始まりましたよね。確か今年中にパース行きも決まっていたはずです。
JALはなんかあったかな?
あ、シアトル行きですね。
我が家はアメリカ行ったことないのであまりピンときませんが。。。
燃油サーチャージのせいもあり航空券が高い今日この頃。
安くなって欲しいですし、直行便がもっと増えて便利になることをユーザーとしては望みます。
なお、燃油サーチャージは4月に安くなることが決まっています。
ということで今日はこの辺で。
それでは!
mosari様
こんにちは。
面白い話ですね。
裏技と言えば裏技なんでしょうか(笑)
Boo様
こんばんはー。
面白い話ですよね。
片道航空券よりも往復航空券の方が安かったりということもあったみたいです。なので往復買って復路は放棄とかもよくあったそうです。
航空業界の闇は深そうですヽ(´o`;
mosari様
はじめまして、時々お邪魔して読ませていただいています。
こちらに伺うと、グローブトロッターがほしくなって困ります・・・
今回の話題と似ていますが、学生時代に友人とロシア~北欧と旅行した時、友人が復路のアエロフロートを放棄したことがあります。
実家のご家族のアメリカ旅行に途中から合流するためで、当時手配をお願いしていた旅行会社にも相談したのですが、往復運賃より片道の方が高く、旅行会社の方が遠回しに放棄をすすめてきました。
友人はノルウェーの学生割引券を取り扱う代理店で無事に格安片道チケットを購入し、期せずして世界一周することとなりました。
私は一人でモスクワ経由で帰国し、空港で何か聞かれることもありませんでしたが、アエロフロートが本気を出したら友人もまずいことになっていたのかも?
格安航空券と正規運賃の違いでしょうが、往復の方が安いのが不思議でした。
それとも日本発便の特徴だったのか・・・あと、なぜ日本では学生割引がないのか、とか。(この旅行では、北欧内を移動する片道航空券も現地で購入しました)
今はLCCがあるので、もっと気軽に買えそうですね。
さふ様
はじめましてお早うございます。
おぉ、まさにご友人が経験されたようなことが昔はよくあったそうです。
今はおっしゃるとおりLCCのおかげで片道運賃も安くなったみたいですね。
それしてもロシア〜北欧旅行とは素敵ですね。
多くの人にとって航空券は身近なものではないので、色々なトラップが潜んでいるにも関わらず表面化しないんですよね。。。
経営が悪化すればよりサービスやハードが削られるでしょうからユーザーの快適さと価格は比例してしまうのでなかなか難しいですが(;´∀`)
グローブトロッターいいですよ(∩´∀`)∩
この話題たぶん簡単じゃないですね。
書けることしか書けないのですが…
とりあえず、乗らないのなら早めに
電話でもして航空会社に伝えないと。
これをやらなかったことがどれだけ
マズイのか認識できていないことが
トラブルの発端になっています。
素人考えですが訴訟の争点をどこに
置くかで控訴審はひっくり返りそう。
まつ様
おはようございます。
やっぱり乗らないなら早めに伝えたほうがいいですよね。
私も今の所無いですが、気をつけます!