カミーノ5日目 歩くのが初めて辛いと思った日 スペイン【世界一周496日目】

【世界一周496日目】2024.9.6 スペイン

残り700.2km

Pamplona→Puente la Reina

歩行距離23.9km

気温:14度〜22度

歩数:40,812歩

1ユーロ=157.61円

mosari
カミーノは辛いのか?それとも楽しいのか?

前向きになれない朝

昨日は大部屋に100個以上のベッドが置いてあるのでうるさくならないか心配だったが朝までしっかりと寝ることができた。

5時40分に起きてまずは体調を確認する。

疲労感はあるが頭痛も無いし大丈夫そうだ。

ベッドから降りてまずは朝食。

チョリソーとチーズを挟んだサンドイッチを作り、

レモン風味のパンを食べた。

キッチンで食事を食べているのは我々と他2人だけ。

多くのピルグリム達が起きていたはずだが朝食は食べずに出発しているようだった。

我々も早く出発しないといけないのだが気持ちが前向きになれない。

理由はわかっている。

ザアアアアアアアアア!!

それは昨日の夜から降り続いている雨のせいだ。

ただでさえ疲労感が残る中この激しい雨の中歩き出したいと思える人がどれだけいるだろうか。

ベッドの感じから既に出発したピルグリムが半分。

まだ出発していないピルグリムが半分といったところ。

残念ながら我々は後者の一部だったのだ。

それでも今日は過去最長である24km近く歩く予定だ。

早く出なければそれだけ到着後が忙しくなる。

行かねばならない。

さぁ、行こう!

無理やり気合いを入れて雨の中一歩踏み出した。

これまでの旅では雨のせいで観光を辞めた日もあった。

だが我々はピルグリムだ。

行くのだ!遥か遠くの聖地を目指して!

…Azuどっちかわかる?

…目印無いね。

踵を返してアルベルゲの中へ。

出発したばかりの我々が戻ってて来たのだから何があったのかと不思議そうに見るオスピタレロ。

ごめん、サンティアゴどっち?

ワハハ、左だよ。

なんとも格好のつかない出発となったが7時に雨の降るPamplonaの街に繰り出した。

人間だから辛いけど、人間だから楽しいんだ

7時だがまだ日が昇っておらず真っ暗だった。

宿を出て左に曲がって進んでいくと、

スペインスペインピンチョスピンチョス

何処からか大きな声が聞こえる。

キョロキョロして声の主を探していると、建物の3階のテラスからだった。

スペイン語?のようで何を言っているかはわからなかったが、「ブエン!カミーノ!」と言ってくれたので我々を祝福してくれているのだろう。

こうして地元の人が応援してくれるのは本当に勇気と元気を貰える。

さっきまでの憂鬱な気持ちも吹き飛んで行った気がした。

まだ静まり返った街をAzuと2人で歩いていく。

タイミングがちょうどズレたのかピルグリムの姿すらほとんど見かけなかった。

雨に濡れる教会がセクシーだった。

気持ちは高ぶっていたが、ペースが上がらない。

旧市街を出ると車通りが多くなって気をつけないといけない。

が、雨を防ぐためにポンチョのフードを被っているので視界が狭く、音も聞こえにくい。

Azuが何か言ってもうまく聞き取れない。

対向車のライトが眩しくて道標を探すのも一苦労。

あれ、次どこだ?

えーっと、あ!あそこにあったよ。

晴れてればなんて事無いはずなのに暗くて雨だとこんなにも見つけにくくなるとは。

あまりにフードを被った時の視野が狭すぎるので思わずフードを外してしまった。

すぐに頭がびしょ濡れになった。

不快だが見えないよりはマシだ。

雨に打たれるたびに気力が削られていく。

歩き始めてまだ1時間も経っていないのにやたら疲れている。

これまでも毎日雨は降っていたがこんなに強い雨は初めてだ。

徐々に喋る元気も無くなり無言で歩いていく。

途中道の脇にクレデンシャル(巡礼手帳)に押すスタンプがあると書かれた看板を発見。

なんの建物だろうと見ていると、

君たちスタンプを探しているのかい?それならここを進んであの建物の前を右に曲がってぐるっと回ったところにあるよ。

ありがとう。行ってみるよ。って言うか君、星のカービィ好きなの?

彼の胸にぶら下がっているカービィのパスケースを見てそう言って見た。

え?もしかして日本人かい?

そうだよ。

うわぁマジかよ。こんな所で会えてめちゃくちゃ幸せだよ!あぁ!でもごめんよ!時間が無くて行かなくちゃ。

時間が無いのにわざわざ我々に声をかけて道を教えてくれた若者。

雨の中なのになんて親切なんだろうか。

どうやらこの建物は大学のようで彼はここの学生だった。

校内に侵入する黄色ポンチョの2人組。

めちゃくちゃ浮いてる気がするが気にせずにレセプションに向かう。

立派な建物の脇の入口から侵入。

黄色ぴちょん君、大学にお邪魔します。

中に入ると受付があったので挨拶をしてスタンプが欲しい旨を伝えるとスタンプを押してくれた。

良かったらこのノートに一言書いてちょうだい。

記念ノートにコメントを書きつつ、前のページをめくってみると日本語を発見。

どうやら2日前に日本人が来ているようだった。

これまで日本人には出会っていない。

どんな人だろうか。

会えるといいけど我々はスローペースだから追いつくのは難しいだろうな(;´∀`)

大学を出てルートに戻って来た。

足取りはまたもや軽くなった。

時間が無いのにわざわざ足を止めて声をかけてくれた学生君。

彼の親切が僕に力を与えてくれた。

うおお!雨になんか負けるかぁああああ!

思わず叫んで再び雨の中を歩き続けた。

気力を補充したが道の状況はさらに悪くなった。

Pamplonaの街を出たら車の交通量が増えた。

スピードを出して通り過ぎる車のエンジン音、そして水を切る音で会話どころでは無くなってしまった。

しかも緩い登りが続いた。

フードのせいで視界は狭く、音はうるさくて会話もできない、登りのせいで暑くてポンチョの中が蒸れてくる。

とにかく不快。

これもカミーノだ。楽しめよ。

そう自分に言い聞かせるが、今日はこれまでで1番長い距離を歩く日でもある。

この後は峠越えも待っている。

この雨の中?

心が徐々に削られていく。

歩き始めて1時間半分ほどでCizur Menorにあるカフェが見えた。

いつもならまだ早い。

だけどこのまま歩くのはどうにもキツくてカフェに逃げ込んだ。

人に力を貰って、激しい雨に力を削がれての繰り返しだった。

スッキリしない心と身体をどうにかしたくてオレンジジュースを飲んで休憩。

25分も休んでから再び雨の道路に踏み出した。

すぐに道路から逸れて未舗装路を歩き始める。

遠くには今日越える峠が見えた。

頂上はすっぽりと雲に覆われている。

本当なら美しい景色が広がっているはずだがこの雨の中ではよく見えない。

2日目のピレネー山脈越えに続いて絶景とはお預けか。

雨が降るのは仕方ないけど初日の午後も含めれば歩き始めてから毎日雨にやられている。

首を垂れているひまわりみたいに僕らの心も下を向きそうになってしまう。

ここから本格的に登りが始まり、地面はドロドロで歩きにくさも加わった。

滑らないように下を見ながら歩かないといけない。

結局ひまわり達と同じで首を垂れて歩いた。

昨日まで楽しくて仕方なかったカミーノ。

下を見ながらとにかく歩く。

歩かないと終わらない。

歩くしか無い。

でも今日はダメだ。

自分でやると決めたのにこんな事思いたく無いけど思ってしまった。

キツい。

そう思った、そう思ってしまった。

ちくしょう。

辛い。

いつまで続くんだろうか?

たまらず立ち止まって後ろを振り返った。

たぶん頑張った証が欲しかったのかもしれない。

だが出発したPamplonaの街がまだ見えた。

まだこれだけしか歩いてないのか。

疲労感の割にはそんなに歩いていない事に驚いた。

そして目指すべき山はまだ遠い。

泥が詰まって重くなった靴を必死に持ち上げて1歩ずつ歩いていく。

途中雨で道が川みたいになっていて靴が水没した。

靴の中が冷たくなった。

それでも歩く。

歩いて歩いて歩いてたどり着いた。

10:25 Zariquiegui到着

歩き始めて3時25分かけて11km先のこの街にやって来た。

疲労困憊だった。

街はとても小さかったが1件だけ食べ物が売っているお店があった。

荷物を下ろして何か食べなければ。

カフェ コン レチェ(カフェオレ)にカラカオ(ミロのような飲み物)に卵と生ハムのトースト。

全部で5.5ユーロくらい(880円)。

暖かい飲み物がとても心地よかった。

トーストと朝作ったサンドイッチに昨日買った胡桃のケーキを食べた。

途中僕の腕に触れたAzuが、

え、なんでこんなに冷たいの?寒いの?

言われて気がついたが腕が冷え切っていた。

心だけで無く身体も悲鳴をあげていた。

登りで暑くなるからとTシャツにポンチョを被っていただけだったがそれだと露出している腕先が雨で冷えてしまっていた。

身体は暑いから大丈夫かと思っていたんだけど。

長袖を羽織ると随分と暖かい。

食べ物も食べてエネルギーも摂取した。

失われた気力も随分と回復した。

食べ物ってのは本当に不思議な力を持っている。

後2km登ったら山頂よ。

初日のOrissonのアルベルゲで一緒だったアメリカ人のマダムがそう教えてくれた。

年齢は60をゆうに越えている。

だが我々と同じかそれ以上のペースでここにいる。

僕たちができない訳が無い。

やるぞ!

再び気合を入れ直して登り始める。

雨に負けずに歩く。

もうすぐ山頂だ。

身体も暖かい。

お腹も満たされた。

同じピルグリムのマダムに勇気も貰った。

そして何より僕よりも辛そうなAzuも頑張っている。

歩け!歩け!歩け!

もう折れるな。

そして僕の心を反映したかのように雨が止んだ。

フードを外すと曇り空ではあるが美しい景色が見えた。

オーマイゴッドネス!

一緒に歩いていたアメリカ人のマダムも雨の終わりを喜んでいた。

そして遥か遠くに見えた山頂で回っていた風車が目前に迫ってきた。

という事は山頂だ。

ピルグリム達をモチーフにしたオブジェが出迎えてくれた。

カミーノを歩いた人のブログで必ず出てくるこのオブジェ。

絶対に見てみたいと思っていたのだが雨が止んでくれていて本当に良かった。

歴代のピルグリム達に混ざってみた。

Azuは馬?かロバと一緒に。

2人一緒に。

山頂では多くの人が雨の終わりと、登り切った事を喜んでいた。

賑やかな山頂。

めちゃくちゃセンスの良いフードトラックも出ていた。

ちゃんと行き先がサンティアゴ デ コンポステーラになっていた。

登って来た反対側にはストーンヘンジのような物と、その奥には遥か先まで広がる丘陵地帯が見えた。

きっとこの先700kmほどのところに我々が目指すサンティアゴがあるはずだ。

下りは岩がゴロゴロした道を一気に駆け降りる。

夏の終わりを告げるひまわり達とは今は違う。

僕たちは前を見ている。

12:50 Uterga到着

山頂からはあっという間に次の街に着いた。

午前中の足の重さが嘘のようだった。

この街には水道があったので補充。

Azuは飲めるか怪しんでいたので通りすがりの兄ちゃんに聞いたら大丈夫だと言っていた。

信じるよ。

収穫を終えたばかりの寂しい畑がどこまでもどこまでも続いていた。

そんな中唯一実を付けているのがこちら。

そう、ワイン用のぶどうである。

この辺はぶどうの産地のようであちこちでぶどうが育てられていた。

13:25 Muruzábal到着

街の入口の家に描かれた素敵な絵。

カミーノへのリスペクトを感じる。

教会の裏手にベンチがあったの小休憩。

持っていたリンゴを食べた。

靴を脱いでみたら靴下がびっしょり濡れていた。

食べ終わったら再び歩く。

足がパンパンパンプローナだよ。

昨日僕が言った時はムカつくと言っていたが気に入ったようだ。

まぁもう少しだから頑張れAzu!

14:20 Óbanos到着

中世を感じる街並みを歩いていく。

街の中心には大きな教会。

韓国人の女の子2人組と抜いたり抜かされたりしながら歩いていく。

彼女達は日本語が少し喋れるし、なんだか顔立ちがとある友達に似ていた。

そう、フィリピン留学でAzuのルームメイトだった韓国人のYUKAちゃんだ。

今ワーホリでオーストラリアに行っているが元気かな。

彼女の思い出やフィリピンの思い出を話していたらついに到着。

15:00 Puente la Reina到着

歩き始めて8時間。

とうとう24km先のこの村にやってくる事が出来た。

今日は本当にどうなることかと思ったが無事に到着出来て本当に良かった。

今日のアルベルゲはAlbergue Padres Reparadoresだ。

1人9ユーロ(1,440円)とかなり安い。

2段ベッドが4個の8人部屋。

使い捨ての不織布製の簡易シーツをセットしてまずはシャワー。

アッツアツが使い放題。

その後は洗濯。

泥まみれの服に靴も洗って干しておいた。

なんとこの頃には雨が止んだだけで無く青空が広がっていた。

これなら乾くだろう。

中庭では一仕事終えたピルグリム達がチルっていた。

ピルグリムディナー

なんだかんだで17時にアルベルゲを出て街のレストランへ。

昨日は16時に閉まるレストランが多くて夕食を食べそびれた。

今日もその可能性があるのでドキドキしながらレストランへ。

今の時間は飲み物だけなんだ。食べるなら19時半以降にまた来てよ。

うわぁやっぱりこのパターン?

少し歩いてやってそうなレストランを発見。

ダメ元で聞いてみるとOK!

しかもピルグリムメニューもあると言うでは無いか!

そんな訳で頼んだのがこちら。

飲み物はAzuは炭酸水。

僕は赤ワイン。

おーっとmosari選手お酒が飲めないくせに調子乗ってますねー!

多分自分の意思で1人でワイン頼んだの始めてやも。

これもカミーノの魔法。

前菜はAzuがエビと鰻?のサラダ。

僕はボロネーゼスパゲティ。

サラダは野菜たっぷり。

ボロネーゼはチーズビヨーン系で美味しかった。(麺はイマイチだったけど)

Azuのメインはミラネーサ(豚肉のカツレツ)。

僕は牛のシュラスコ。

どちらもシンプルな味付けだったが肉が食べたかった我々は大満足。

デザートはAzuはプリン。

僕はカスタード。

プリンは安定の美味しさ。

カスタードは液体っぽくてシナモンがかかっていた。

飲み物っぽい感じ。まぁ。うん。甘い。

これで1人13.5ユーロ(2,160円)なので中々コスパが良いのでは無いだろうか。

パンは言えばおかわりもくれたし。

なお、外のテラス席で食べたのでチャージが1人1ユーロ(160円)。

そういえばスペインはテラス席だと追加料金がかかる事があるのを思い出した。(ヨーロッパはテラス席が人気)

歩いて、食べて、寝る。それだけなのにすごく贅沢な事をしている気がするね。

食べながらAzuがそんな事を言ってきた。

最高に贅沢な時間だよ。その事に気がつけたら後は楽しむだけだよ。

いや、贅沢なのと辛いのは別。辛かったもん。

まぁ実際Azuはすごい頑張っている。

一緒にゴールするのが楽しみだ。

最後はどんな感情なんだろうか。

その答えを求めて今はただ歩くのみ。

美しい街を歩いてスーパーで明日の食料を買ってアルベルゲに戻った。

このアルベルゲは随分と賑やかだった。

パンプローナの街とほぼ同じピルグリム達がこの街に来ているはずだがどう言うことか明らかにこれまでよりも賑やかだ。

あちらこちらから若者達の笑い声が聞こえてくる。

これまで落ち着いた雰囲気だったからちょっと驚いてしまった。

その賑やかさは22時を越えても続いていた。

無法地帯。

寝ている人がいるのに同室の女の子達はずーっと大声で話をして笑い合っている。

今日はハズレだ。

早く静かにしてくれる事を願いつつベッドに横になった。

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明日は晴れの予報!

それでは!

 

 



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2 件のコメント

  • mosariさーーーん!
    私は元気です🥰今、一時帰国しててバタバタと過ごしてます😂😖
    フィリピン懐かしいですね🥹
    ではでは、引き続き毎日頑張ってくださーいい🔥🔥✨
    ブログ更新も大変だと思いますが、楽しみにしてます❤️

    • yukaちゃーーん

      返事遅くなってごめーーん!
      一時帰国してたのね。
      フィリピン→オーストラリアと経験してyukaちゃんの次のステージがどうなるか数年先まで夫婦ともども楽しみにしてます。

      お互い型にハマらず楽しく人生過ごしましょー!

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    名前:mosari
    年齢:30代アラフォー
    性別:男性

    2023年4月2日から夫婦の夢だった世界一周の旅に出ました。

    小学校の同級生夫婦のポンコツ世界一周旅で世界の絶景、地球の美しさ、多種多様な文化を見てきます。 現在は3ヶ月のフィリピンでの語学留学を終えて、世界を巡ってます。

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